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42話 王族殺害未遂、炎の弾と重犯罪

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-12-02 06:00:23

「あぁ……これ」

 レイニーは、そう言い、チラッと国王の紋章の入ったナイフを見せると、警備隊長が慌てて跪いた。その動作は、まるで機械仕掛けのようだった。

「あ、それは良いから……エリゼの護衛を部下の人に頼めるかな?」

 出入りの多い、詰め所の前だったのでエリゼを放って置くと連れ去られたら困る。レイニーは、エリゼの安全を最優先に考えた。

「はっ! かしこまりました!」

 警備隊長は、震える声で答えた。

 エリゼが警備兵に囲まれ、応接室へ連れて行かれた。勝手に応接室を使われて、所長はムスッした表情で近寄ってくると文句を言い始めた。その顔は、怒りで歪んでいる。

「城門の警備隊長だから多めに見ていたが、許可なく勝手に応接室を使うとは……無礼だぞ、俺たちは王都の警備部隊所属で別の管轄だぞ! あとで厳重に王都警備隊長に報告し、文句を言ってもらうからな!」

「あーそれは、出来ないと思いますけど〜?」

 レイニーが、後ろで腕を組みそっぽを向いて、二人の会話に口を挟み元所長に言った。その声には、どこか冷たさが混じっている。

「……なんだクソガキ、まだいたのか!? 子供の口出しする話じゃないぞ。おい! 副所長、このガキを外に放おり出せ! 邪魔だ!」

 所長は激怒した表情で、顔に血管が浮き出ているって……こんな感じなんだろうなぁ……という表情をしている。その怒声は、詰め所全体に響き渡った。

 レイニーと隊長の話を聞いていた副所長は、堂々と無視をした。その顔には、迷いと、それでもレイニーへの警戒が読み取れる。

「おい! 聞こえんのか!? 俺は、ガキをつまみ出せと命令をしているんだぞ! 上官からの命令無視は、厳罰だぞ! 貴様! 命令だと言っているだろ!」

 所長の声は、怒りで震えている。

「だよね。命令無視は厳罰だよね……? 警備改革を無視して改善が出来てないんじゃないの? 王都警備隊長も厳罰の対象かもね……」

 レイニーが呟いた。その言葉は、所長の胸に深く突き刺さった。

「おい! これが最後の命令だぞ……これを無視すればお前を副所長から解任し、一般兵に降格だ! ガキをつまみ出せ!」

 所長は怒った表情をして命令をするが、副所長は目も合わせずに完全に無視をした。その沈黙は、所長の怒りをさらに煽る。

「……もういい!! お前は副所長を降格とし、一般兵だ!」

 そう言うと、所長はレイニーへ近づいて来ようとした。しかし、隊長と兵士が立ちふさがった。

「そこをどけ! 俺が直々にクソガキを外に放おり出してやる!!」

 所長は、立ちふさがった兵士を掻き分けようと、兵士たちに掴みかかった。その顔は、狂気に満ちている。

「はぁ……ここの詰め所の警備体制に問題があると判断し、第三王子の権限で現所長を一時解任し、副所長を所長とし引き続き業務を行って下さーい♪」

 レイニーにそんな権限があるか疑わしいが……問題があるのは事実だし、お父さまも聞けば納得してくれると思う。レイニーは、自分の言葉がどれほどの重みを持つかを理解していた。

「そんなガキの言う事を誰が信じるんだ? わっははは……城門警備隊長は信じるのか? 王子様が護衛兵を付けずに、この様な場所に現れるわけがないだろ! 馬鹿めが……!」

 所長は、隊長の行動を見て大笑いをして、罵倒していた。その笑い声は、嘲りを含んでいる。

「困った人を助け保護するのが王都の警備部隊だと思うんですけどねぇ……。何の事情も聞かずに子供を追い出すって、どうなの? 困ってきてるのにさぁ〜」

 レイニーは、今更元所長に意見を言っても無駄だと思うが、それでも静かに言葉を続けた。

「業務の邪魔をするガキが何を言ってるんだ!? くそがきめ……俺様をナメるなよ……これでも喰らえ、ファイアショット!」

 所長がカウンターの中から魔法を放ってきた。当然、隊長と兵士が盾となり防いでくれた。その炎は、兵士たちの盾に当たり、音もなく消えた。

「はい。今ので……王族の殺害未遂になりました〜。なので、一時解任から重犯罪者となり裁かれまーす。捕縛を宜しくお願いしますねっ。隊長さん」

 

♢王子の采配と危険な森

 ちょっとしたオオゴトになり、街の他の警備兵の詰め所からも応援が駆けつけてきた。バッグに見せかけたあーちゃんから取り出すフリをして、レイニーは公式な便箋にカリカリと文字を書き、自分の印を押して隊長に渡した。その手つきは、幼いながらも妙に手慣れていた。

「この件の指揮権は、隊長さんにお任せします。王都の警備兵も指示に従うようにっ! それでさぁ〜剣を二本貸してくれない? それとさぁ……この辺に、魔物が現れる場所を知らないかなー?」

 レイニーは、にこやかに隊長に尋ねた。

「それでしたら……城門を出て、すぐの森に魔物は出ますが……」

 隊長は、少し迷った後、答えた。

「……これを、お使い下さい」

 副所長が剣を二本用意してくれて、跪き渡してきた。その顔には、先ほどの傲慢さはなく、緊張と焦りが入り混じっている。

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